成果事例

HOME > 成果事例

成果事例

フッ素含有化合物ライブラリーの溶解度試験 帝人ファーマ株式会社

19F核は磁気回転比が1Hの0.94倍で、天然存在比は100%であるため、1Hと同等に感度が良い事、生体分子内には存在しない核であるため蛋白質由来のバックグラウンドが観測されない事、等の理由から、近年19F核を利用したNMRスクリーニング法が注目されている。 

 NMRスクリーニング法では、化合物を高濃度に溶解させる必要があるため、タンパク質が安定に存在できる水系バッファーへの溶解度試験は、必要不可欠である。そこで、本課題では、ライブラリーの125化合物全てを、水系バッファーに溶解して、19FNMRスペクトルを測定し、溶解度とケミカルシフトを確認した。水系バッファーに溶解した化合物の19FNMRスペクトルに基づき化合物の混合パターンを最適化し、予備的な実験としてモデル蛋白質に適用することで、調製された化合物ライブラリーがスクリーニングに利用可能であることが分かった。

■利用課題:
平成25年度トライアルユース
■利用NMR装置:
溶液400MHz、600MHz

600MHzでのDNP-NMRプローブ開発 株式会社ジオールレゾナンス

高磁場DNP-NMR分光装置はNMR感度を1万倍向上させる革新的な分光装置であり、そのプローブを開発した。本施設の高均一な高磁場NMR、極低温ガス供給システム、高出力テラヘルツ波光源を用いて実地試験を行った。試験結果に基づき、かってない極低温と高磁場で試料回転DNP-NMRを行えるプローブを製作できた。この成果は、DNP-NMR分光装置に取り入れることにより世界最高感度を実現する競争力の高い製品として、受注に結びつけられた。

■利用課題:
平成25年度特定課題利用
■利用NMR装置:
DNP固体600MHz

NMRによるアミン水溶液中のモル分率測定 関西電力株式会社

火力発電所の排ガス中のCO2を回収する方法では、化学吸収法が有望であるが、化学吸収法では、吸収液(通常はアミン水溶液)の開発が1つの大きな課題である。吸収液性能(CO2吸収容量、吸収速度等)は、用いるアミンの種類によって大きく変わるため、このメカニズムを考察する上で、CO2を吸収したときに吸収液中に存在する化学種やその濃度を把握することは、極めて重要である。

そこで本課題では、NMRを用いて、CO2吸収後の液中に存在する化学種と組成比を直接分析することを目的とした。各化学種のピークの帰属は、HSQC及びHMBCによって行い、ピーク面積からモル比を算出した。その結果、CO2を吸収したピペラジン(PZ)水溶液中の化学種とその組成比を下図のように明らかにすることができた。

今後、本結果を吸収液性能の解釈や、性能予測に必要な平衡定数の算出等に活用していく予定である。

地球温暖化問題は人類が直面した大きな課題である。NMRによるCO2吸収液の分析技術は新規の吸収液開発に有効であり,化学吸収法の技術開発に寄与する。化学吸収法の技術が確立すれば,火力発電所のみならず,広い分野でのCO2排出源に活用されることが期待できる。

mol

■利用課題:
平成24年度トライアルユース課題
■利用NMR装置:
溶液400MHz

オリゴヌクレオチドの構造解析 株式会社ジーンデザイン

核酸医薬品の製造に用いる原料モノマーや製造したオリゴヌクレオチドのNMRを測定し、そのデータが品質保証のために有効かどうかを検討した。
オリゴヌクレオチドの合成に用いるモノマーの純度確認を31P-NMRによって行ったところ、合成に影響がある5 価のリンを持つ不純物の有無を比較的簡単に確認できた。このことから、モノマーのNMR 分析は受け入れ試験に有用であることが分かった。また、ホスホロチオエート結合の含有率を31P-NMRによって調べたところ、天然型のリン酸ジエステル結合とホスホロチオエート結合の比率を簡単に確認することができた。このことから、オリゴヌクレオチドの品質管理にこの分析が有用であることが分かった。
NMRをオリゴヌクレオチドの原料から最終生成物の分析に使用することにより、化合物に対するより多くの情報が得られ、将来の核酸医薬品製造に非常に役立つ。これにより、社会に核酸医薬品を安価に広く供給できる。

 

test01

■利用課題:
平成23年度トライアルユース課題
■利用NMR装置:
溶液400MHz
ページの先頭へ